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【関ジャム完全燃SHOW】プロから見たらスゴいアイドルソング9曲

2019年9月8日、テレビ朝日系「関ジャム完全燃SHOW」では「プロが唸ったスゴいアイドルソング9曲と題して、アイドルソングも手掛けてきた音楽のプロが、音楽的にみて名曲と思えるアイドルソングを紹介・解説していました。
とかく軽視(?)されがちなアイドルソングですが、詳しく解説された楽曲をみると、音楽的な構成もしっかりと考えられていて、なおかつ聴きやすい名曲ばかりでした。

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プロが唸ったスゴいアイドルソング

アイドルソングを紹介したのは、3人の音楽業界のプロ

本間昭光さん(音楽プロデューサー)
手掛けたアーティスト:いきのもがかり・ポルノグラフィティ・浜崎あゆみ 他
手掛けたアイドル:V6・Wink・関ジャニ∞・ももいろクローバーZ 他

松尾潔さん(音楽プロデューサー)
手掛けたアーティスト:平井堅(プロデュース)・CHEMISTRY(プロデュー)・久保田利伸(歌詞)・JUJU(プロデュース) 他
手掛けたアイドルソング:SMAP(作詞)・NEWS(作詞)・ジャニーズWEST(プロデュース)・東方神起(プロデュース) 他

常田真太郎さん(スキマスイッチ)
楽曲提供したアイドル:関ジャニ∞・w-inds.・ソニン 他

 

(※記事中の楽曲名・コメント等の文章は、「関ジャム完全燃SHOW」2019年9月8日放送分より引用・要約などさせていただいております。) 

 

3人が選んだスゴいアイドルソング 

3人のプロが紹介したのは、次の9曲でした。

松尾潔が選んだアイドルソング(その1)

●少年隊「君だけに」('87)
(作詞:康 珍化 作曲:筒美京平) 

【ポイント】
①フィラデルフィア・ソウルの解釈が最高
②ジャニーズの歌って踊れるバラード

 ◆フィラデルフィア・ソウルとは?
1970年代、アメリカ北東部の都市・フィラデルフィア発のソウルミュージック。
特徴:弦楽器を使った 華やかで美しく甘いサウンド。
「愛がすべて」('75)/スタイリスティックス、「天使のささやき」('73)/スリー・ディグリーズ など

 

【松尾潔コメント】
スイートソウルならではの美しいサウンドを取り入れながら、メロディーは洋楽ベクトルに暴走することも歌謡曲的にうまみから外れることもなく、「単なる洋楽のマネでは終わらせない」という気概を感じます。
高音部を(ファルセットで使わずに)地声で苦しげに歌っているのがポイント。
「成熟」「官能」といったスイートソウルの特色を「青春」「純愛」というアイドル歌謡ならではの魅力に転じさせることに成功した。

 

フィラデルフィア・ソウルと言えば、生のゴージャスなストリングス(弦楽器)が売りだが、この曲は80年代という時代性もあり、シンセストリングス(デジタルの弦楽器)で演奏している。
デジタル楽器を使った理由としては、生にすると本物になり過ぎるが、デジタル楽器を使うことによって、フィラデルフィア・ソウルのモノマネではなく、フィラデルフィア・ソウルに影響を受けた「アイドル歌謡」として楽曲を確立させている、とのこと。

 

本間昭光が選んだスゴいアイドルソング(その1)

●松田聖子「赤いスイートピー」('82)
(作詞:松本隆 作曲:呉田軽穂)

 

【ポイント】
①松田聖子の新たな魅力を引き出したABAメロディー構成
②アーティストがアイドルに提供した まさに真骨頂の1曲

・松本隆:作詞家。バンド「はっぴいえんど」のドラマー。
・松任谷由美:「呉田軽穂」名義で楽曲提供。

本間さんによると、以前からアーティストからアイドルへの楽曲提供はあったが、明らかに、アイドルとアーティストの親和性が発揮されたのは、この曲がキッカケになっていると思われる、とのことです。

【本間昭光コメント】
松任谷由美が松田聖子に初めて提供した曲。
19歳の松田聖子にロマンティックな曲を歌わせることで新たな魅力を引き出すことに成功した。
アーティストが楽曲を披露する新しいプラットフォームとしてのアイドルソングを確立した。

 

【アーティストがアイドルに提供した主な曲(80年代)】

・竹内なりや→河合奈保子「けんかをやめて」('82)
・中島みゆき→柏原芳恵「春なのに」('83)
・松任谷由美→原田知世「時をかける少女」('83)
・井上陽水→中森明菜「飾りじゃないのよ涙は」('84)
・尾崎亜美→松田聖子「天使のウィンク」(’85)
・角松敏夫→中山美穂「You're My Only Shinin' Star」('88)

 

 

常田真太郎が選んだスゴいアイドルソング(その1)

●ももいろクローバー「行くぜっ!怪盗少女」('10)
作詞・作曲:前山田健一(ヒャダイン)

【ポイント】
①ヒャダイン作詞・作曲のルール無用曲
②躊躇のない場面転換、そして展開 

【常田真太郎コメント】
セクションごとにAメロ、Bメロ、サビでまるで雰囲気が違うアレンジは、ヒャダインが最初だと思う。
アレンジは、イントロからの流れで起承転結があるが、この曲にはセオリーが全くない。ミュージカルのような急な展開に驚いた。

 

常田さんが考えるに、この曲の頃から、PCベースで楽曲を作るクリエイターが多く出てきたのではないか、PCで作った方が、1曲の中に違う雰囲気の曲調を詰め込みやすいと思う、とのこと。

本間昭光が選んだスゴいアイドルソング(その2)

☆山下達郎がトップアイドルに提供した1曲!!

●近藤真彦「ハイティーン・ブギ」('82)
(作詞:松本隆 作曲:山下達郎)

【本間昭光コメント】
あの山下達郎が「アイドルに楽曲を提供するのか!?」と驚いた。
しかも、音だけ聴くと達郎さんの作風とは思えず、しっかり、アイドルサウンドに仕上がっている。
とはいえ、一度聴くだけで残るメロディーメイクはさすがの一言。

それまで、ついつい軽視されがちなアイドルソングだったが、前述の通り、この頃からアーティストが楽曲を提供するようになり、流れが変わったのでないかと思われる。

※「赤いスイートピー」(1982年1月発売)
 「ハイティーン・ブギ」(1982年6月発売)  

 

常田真太郎が選んだスゴいアイドルソング(その2)

☆アイドルソングらしからぬ手法が満載の攻めた1曲

●欅坂46「世界には愛しかない」('16)
(作詞:秋元康 作曲:白戸佑輔)

【常田真太郎コメント】
ど頭でいきなり叫ぶ。
Aメロはポエトリーリーディング。
しかも、歌わないのにオケをしっかり作っている。
ポエトリーリーディングはアイドルでもやることはあるが、ここまでのメジャーアイドルでは珍しい。転調で毎回必ず音が下がっていくようなギミックのアレンジ。
特にサビの転調で半音下がるのがスゴい。上げるのがスタンダード。普通では考えられない。 

 

松尾潔が選んだスゴいアイドルソング(その2)

☆和製マイケル・ジャクソン誕生を予感させた1曲

●Folder「NOW AND FORE FOREVER」('97)
(words:Kazuko Kobayashi music:Minoura Komorita)

※Folderには、HIKARI(満島ひかり)・DAICHI(三浦大知)が在籍。

 

【松尾潔コメント】
当時10歳の三浦大知(DAICHI)が声変わり前ならではのボーイソプラノで歌いきっている。
高音部でもメタリックにならず。体温を失わない声質だけでなく、パワフルな声量。
ボーカルだけでダンスを感じさせるタイム感(独特な歌のタイミング、感覚)の非凡さなど、この時代のDAICHIのボーカルにはマイケル・ジャクソンとの類似点が多く見受けられます。
この曲もまたリードをファルセットにしたくなるマチュアな(成熟した)作品だと思いますし、そこに新しさを感じてもいました。

 

本間昭光の選んだスゴいアイドルソング(その3)

☆小林武史が作った画期的なイントロから始める名曲

●小泉今日子「あなたに会えてよかった」('91)
(作詞:小泉今日子 作曲:小林武史)

あなたに会えてよかった

あなたに会えてよかった

  • 小泉今日子
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

【本間昭光コメント】
不安定な長7度音程から始まるメロディーが画期的だった。
冒頭サビからいきなりEキーからBキーへの転調も見事。
それまでのアイドルソングにはほとんど無かったビートルズ感を小林武史さんが演出。ABAというシンプルな進行の名曲。 

 

常田真太郎が選んだスゴいアイドルソング(その3)

☆岡本真夜が手掛けた歌詞が秀逸な1曲

●広末涼子「大スキ!」('97)
(作詞・作曲:岡本真夜)

 

【常田真太郎コメント】
歌詞の小さい「っ」の使い方が上手い!!
音節に入れることで跳ねている感じを出している。
サビは一聴してキャッチーで強烈なメロディーと歌詞。
「とってもとっても・・・」と「あいあいあい・・・」を同じメロディーに乗せても全く違和感がない。 

 

松尾潔が選んだスゴいアイドルソング(その3)

☆方言を効果的に使った傑作アイドル歌謡

●関ジャニ∞「大阪レイニーブルース」('05)
(作詞:MASA 作曲:馬飼野康二)

【松尾潔コメント】
タイトルが堂々と「悲しい色やね」のオマージュであることを宣言。
ギターのループ感を強調したフォーキー・ソウルとも言うべき傑作アイドル歌謡です。
サビの秀逸さは、リフ感の高い人懐っこいメロディーもさることながら、「かえられへん 戻られへん」「忘れられへん 離れられへん」という大阪弁を使った歌詞に尽きるでしょう。

こういった企画で関ジャニ∞の曲が紹介されたのは初めてのようで、メンバーから「忖度ですか?」と聞かれ、松尾さんは「忖度ではない。名曲です」と答えていました。

また、松尾さんは、ジャニーズWESTの7枚目のシングル「おーさか☆愛・EYE・哀」をプロデュースする際に、「大阪ネタで」というテーマを与えられて、「大阪レイニーブルース」を研究したとのことです。

 

以上の9曲が紹介・解説されました。
音楽史に残る曲、良曲・名曲ばかりでした。 

 

個人的に衝撃を受けたアイドルソング

次の2曲は、同番組とは全く関係なくて、個人的に衝撃を受けた楽曲です。(興味ない方は、読み飛ばしてください)

個人的には、数年前まではついつい「アイドルソング」を少し軽視していたんですが、この曲を聴いて、遅ればせながらアイドルソングに対する価値観が一変しました。

●でんぱ組.inc「でんでんぱっしょん」('13)
(作詞:畑亜貴・Rap Lyrics:もふくちゃん&YGQ 作曲:玉屋2060&)

アニソンを中心に数多くの楽曲の作詞を手掛け、アニメ「らき☆すた」の「もってけ!セーラーふく」も作詞した畑亜貴さんが作詞を担当、当時でんぱ組.incとレーベルメイトだったロックバンド・Wiennersのギターボーカル・玉屋2060%氏が作曲を手掛けたでんぱ組.incの代表曲。
でんぱ組.incらしく、とにかくBPM高めの軽快な楽曲。
2014年公開の映画「渇き。」の劇中歌にもなりました。

 

●清竜人25「Will♡You♡Marry♡Me?」('14)
(作詞・作曲:清竜人)

シンガーソングライター・清竜人さんが、アイドルグループをプロデュースする為のプロジェクトで立ち上げた7人組アイドルグループ。(解散時は6人組)
センターは清竜人さん自身が務め、その他のメンバー6人の女性は全て竜人さんの「妻」という設定の日本初(世界初?)の「一夫多妻制」のアイドルグループ。
当時、アフロヘアの竜人さんが、カワイイ女の子を引き連れてパフォーマンスする姿が、怪しくもありカッコよかったです。
「Will♡You♡Marry♡Me?」は、清竜人25のデビューシングルで、ファンクアレンジが特徴的な良曲。MVやステージのダンスパフォーマンスが、このグループのコンセプトである「一夫多妻制」の多幸感のようなものを端的に表現していました。
元々、シンガーソングライターとして評価の高かった竜人さんが、全楽曲を作詞曲しているので、質の高い楽曲を持つグループでした。
また、竜人さんは、この後、多くのアイドルやアニソンシンガーへ楽曲を提供しています。
「清竜人25」のプロジェクトは、元々アルバム1枚を作成して終了する予定だったようですが、人気が出たため、さらにもう1枚のアルバム(2ndアルバム)まで発表し、2017年6月に大団円で解散しました。
その後、清竜人さんはソロシンガーとして活動されています。ちなみに、第1夫人の咲乃さんは、「新希咲乃」の名前で美容系YouTuberとして人気を得ています。

 

アイドルソング、侮れません!!
良曲が多いので、これまでアイドルに興味がなかった方も、一聴してみてはいかかでしょう。

 

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