昨日2022年1月16日、テレビ朝日系「関ジャム完全燃SHOW」は、毎年年始の好評企画「プロが選ぶ2021年のマイベスト10」の後編が放送されました。
人気音楽プロデューサーなど3人の音楽のプロが、昨年2021年に発売された楽曲や話題の楽曲の中からマイベストを10曲ずつ選んだ、前年の1年間を振り返る名曲ランキングです。
(※今週の放送は、4位→1位の発表でした。)
音楽のプロが本気で選んだ 2021年のマイベスト10
先週に引き続き、マイベストを選んだ音楽のプロは次の3人でした。
●蔦谷好位置さん:音楽プロデューサー。
●いしわたり淳治さん:作詞家・歌詞プロデューサー。
→ 2021年は、「DIS//」や「まふまふ」などの作詞にも携わる。●Yaffleさん:ソングライター・音楽P。
→ 2021年に手がけた主なアーティスト:藤井風・ELAIZA・尾崎裕哉・adiue(上白 石萌音)など
☆先週の放送で、3人が選んだ2021年マイベスト10位→5位はこちら
いしわたり淳治さんが選んだマイベスト(10位→5位)
10位「セーラ☆ムン太郎」/マハラージャン
9位 「Baby,it’s you」/YUKI
8位 「Coke and Mentos」/セイレム・イリース
7位 「愛を知るまでは」/あいみょん
6位 「紫の夜を越えて」/スピッツ
5位 「踊り子」/Vaundy
Yaffleさんが選んだマイベスト(10位→5位)
10位「Cynical City」/新東京
9位 「xx(check,check)」/gato
8位 「Chickin Street」/Tina Moon
7位 「My Moon(feat.ZIN)」/VivaOla
6位 「Stay(feat.LEX)」/KM
5位 「Balmy Life」/Kroi
蔦谷さんが選んだマイベスト(10位→5位)
10位「New Day(feat.Sweet William)」/Kiki vivi lily
9位 「MUSIC」/LEX
8位 「ライムライト」/宗藤竜太
7位 「Bada Bing Bada Boom feat.Zag SO-SO REMIX」/Dul
6位 「太陽」/ちゃんみな
5位 「爆ぜる色彩」/浦上想起
(※記事中のランキング・曲名・コメント等の文章は、「関ジャム完全燃SHOW」2022年1月16日放送分より引用・要約などさせていただいております。)
いしわたり淳治が選ぶ2020年のマイベスト10曲(4位→2位)
【4位】
☆2017年メジャーデビュー。ラップ日本一とDJ世界一による2人組ヒップホップユニット
●POINT:脱両区間と誠実さと一流のスキルが生んだ新しいヒップホップ表現
「のびしろ」/Creepy Nuts(9/1リリース)
作詞:R-指定 作曲・編曲:DJ松永
【いしわたり淳治コメント】
HIPI HOPのマナーでは「俺はやってやる」「メイクマネーする」といったように自分の力を直接的に言葉にすることも多いけど、それと同じ内容を、彼らならではの脱力感と誠実さと一流のスキルでリリックに落とし込むと、「俺らまだのびしろしかないわ」という素敵な言葉に変わるのだ、ということに気づいて感動しました。
【3位】
☆ソロデビュー約20年!!根強い人気を誇る女性アーティスト グラミー賞7つのノミネート。世界10億回再生を記録した18歳の新歌姫!!
●POINT:リアリティーの言葉では足りない、失恋女性の感情の手触りを感じるバラード
「drivers license」/オリヴィア・ロドリゴ(1/8リリース)
作詞・作曲:Olivia Rodrigo,Danie Nigro

●オリヴィア・ロドリゴ:18歳。女優としてアメリカのテレビドラマに出演。デビュー曲「drivers license」が全米・全英シングルチャートで初登場1位を記録など世界的大ヒットとなり、10億回再生を突破!!
【いしわたり淳治コメント】
彼女の歌詞にはリアリティという言葉だけは足りない、失恋の悲しみや悔しさや怒りの「確かな感情の手触り」のようなものを感じます。
徐行するようなゆっくりとしたテンポで進む恋の歌が、初心者のおぼつかない運転と自分の恋を重ねるように切なく響く、素敵な曲です。
【2位】
☆2020年 TikTokをキッカケにブレイク 1998年15歳でデビュー。アルバムリリース10枚!!日本を代表する女性アーティスト
●POINT:!最初から最後まで一言も聴き逃せない曲!!(※出だしの歌詞に注目!)
「PINK BLOOD」/宇多田ヒカル(6/2 リリース)
作詞・作曲:Hikaru Utada
【いしわたり淳治コメント】
とても日本語をはめにくいメロディーなので、英語も堪能な彼女は英語で書いてしかるべきなのに、抜群の良い違和感で、思いの伝わる日本語がセンス良くはまっていて衝撃を受けました。
その後もりりし言葉が続いて、最初から最後まで一言も聴き逃せない素晴らしい歌です。
Yaffleが選ぶ2020年のマイベスト10曲(4位→2位)
【4位】
☆人気ドラマから生まれた異色のコラボレーション
●POINT:これまでのヒップホップのイメージを覆した曲
「Presence Remix(feat.T-Pablow,Daichi Yamamoto,NENE,BIM,KID FRESINO)」/STUTS & 松たか子 with 3exes(6/23リリース)
作詞:T-Pablow,Daichi Yamamoto,NENE,BIM,KID FRESINO,butaji 作曲:STUS,butaji

●ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」主題歌収録アルバム:
トラックメイカー・MPCプレイヤーであるSTURSがトラック制作・楽曲プロデュース。
メイン・ボーカルは松たか子が勤め、岡田将生、角田晃広、松田龍平がコーラス参加。
T-Pablow,Daichi Yamamoto,NENE,BIM,KID FRESINOをフューチャリングに迎えている。
【Yaffleコメント】
プロジェクトの背景も含め、これまでのヒップホップイメージを覆した楽曲。
曲自体もステレオタイプのやんちゃな感じじゃなくて、かなりシックにまとまっていて今っぽく、坂東祐大さんの劇伴をSTUTSくんがサンプリングしてビートを作るというアイデアも非常に面白い。
ギミックやテクスチャーで引きつけようという邪念を感じさせず、曲全体の流れで自分のサウンドを表現するところも良いなと思います。
【3位】
☆沖縄出身女性ラッパーと人気若手ラッパーに2人によるコラボレーション!!
●POINT:新しいヒップホップのカッコよさを演出!!
「GIRA GIRA feat. JP THE WAVY,YZERR」/Awich(7/30 リリース)
作詞:Awich,JP THE WAVY,YZERR 作曲:Chaki Zulu

●Awich:2020年メジャーデビュー。沖縄出身の女性ラッパー。RADWIMPSやAIなど、他アーティストとの共作も多い。今年公開の映画「永遠の1分。」で映画初出演。
【Yaffleコメント】
Awichさんはこれまで僕が抱いていたラッパーのイメージとは違う印象。
強さや怖さがあるのに洒脱でカッコ良い。
そして、Chaki Zuluさんの素晴らしいビートはコード進行を感じさせないも^ド調なクワイア(合唱)を軸にしている。
このようなビートでは、トップライン(メロディー)自体の推進力が必要とされるが、ラッパー3者とも完全に乗りこなしている。
従来のヒップホップのカッコ良さだけでなく、それまでの文脈を必要とせず音楽的要素のみとってもカッコ良さを演出できているのが新鮮。
【2位】
☆ハスキーボイスの女性ボーカリストと昨年蔦谷が1位に選んだアーティストがユニットを結成!!
●POINT:2人が作り出す多声感が圧巻!!
「BLUE SOULS」/A_o(7/7 リリース)
作詞・作曲:三船雅也 編曲:ROTH BART BARON

●A_o:「BISH」のアイナ・ジ・エンドとインディーフォークバンド「ROTH BART BARON」三船雅也によるユニット。「BLUE SOULS」は、ポカリスエットCMソング。
【Yaffleコメント】
現代っぽい音色のアプローチではなく、声の使い方だけで斬新な演出。
2人の声のバランスが非常に良く、ピッチ感が作り出す多声感が素晴らしい。
蔦谷好位置が選ぶ2020年のマイベスト10曲(4位→2位)
【4位】
☆2021年を代表するメディアミックス作品
●POINT:ヒップホップとオルタナティブとお茶の間の架け橋
「Presennce」(全作品)/STUTS & 松たか子 with 3exes
※Yaffleさんが4位に選んだ STUTS & 松たか子 with 3exes/「Presence」の全作品を蔦谷さんも選出。
【蔦谷好位置コメント】
最前線のHIPI HOPプロデューサーとラッパー陣が出演俳優と共演したバージョンを週替わりでエンディングに放送するという、2021年最高のメディアミックス作品でした。
「よくぞ、このメンバーを集めてくれた」とうなったリスナーも多いのではないでしょうか。
これを可能にさせているのは脚本家の坂元裕二さん、松たか子さんという国民的作品を作り続けながらオルタナティブであり続けている存在が大きいと思います。
【3位】
☆作詞作曲からアレンジ、デザインや映像ディレクションまで全てをこなすマルチアーティスト
●POINT:非凡な才能が遺憾無く発揮された超大作!!
「しあわせ」/Vaundy(4/11 リリース)
作詞・作曲・編曲:Vaundy

※いしわたりさんもVaundyの「踊り子」を5位に選出しています。
【蔦谷好位置コメント】
常に高い完成度でジャンルレスな幅広い楽曲を発表し続けているVaundyの中でも、彼のJ-POPのエモーショナルな部分が爆発した曲です。
多彩な歌唱表現で自身の歌声の魅力を最大限に生かしたメロディーラインになっており、Vaundyの作詞、作曲、プロデュースそして歌唱表現とあらゆる総合力の高さ、非凡さが遺憾無く発揮された超大作です。
【2位】
☆2021年紅白歌合戦初出場!!男女混成3人組バンド
●POINT:J-POPの可能性を感じさせてくれる偉大な曲
「勿忘」/Awesome City Club(2/10 リリース)
作詞:atagi,PORIN 作曲:atagi,RYO NAGANO 編曲:RYO NAGANO

●Awesome City Club:幅広いルーツをMIXした音楽性を持つ、男女ツインヴォーカルの3人グループ。2015年4月に1stミニアルバムをリリースしiTunesロックチャートで1位を獲得するなど話題を呼んだ。第63回日本レコード大賞「優秀作品賞」を受賞、さらに第72回NHK紅白歌合戦への初出場を果たした。
【蔦谷好位置コメント】
一聴して誰もが名曲と感じる曲だと思いますが、サビは4563進行という典型的なJ-POPのフォーマットで作られています。
しかし、全くそう感じさせないのは、メロディーの運び方、一音一音の音色のチョイス、全体のアレンジ力にあると思います。
俳句の五七五のように、ある程度のルールが決まった中でいかに新しく、面白く美しいものを作れるかというのは、誰も体験したことがない新たな型を作る事と同じように至難の業だと思います。
他に番組では、関ジャニのメンバーが2021年にヘビロテした楽曲も紹介しました。
3人のプロが選ぶ2020年のマイベスト 1位
いしわたり淳治が選ぶ2020年のマイベスト1位
☆2020年メジャーデビュー。社会現象を巻き起こした19歳女性シンガー
●POINT:世の中を席巻した音楽業界からの流行語
「うっせぇわ」/Ado(20.10/23 リリース)
作詞・作曲・編曲:syudou
【いしわたり淳治コメント】
プロのミュージシャンが作る音楽からは流行語が生まれない時代が長く続いて、個人的にそれを寂しく思っていました。
その意味で、社会現象にもなった「うっせぇわ」は純粋に嬉しかったし、今の音楽界においてとても意味のあるヒットだったと思います。
彼女の音楽的なセンスの良さと、唯一無二の声と歌唱力は、2021年1番の衝撃だったと思います。
※「2021 ユーキャン新語・流行語大賞」に選出。
Yaffleが選ぶ2020年のマイベスト1位
●POINT:完璧な曲!!
「One Last Kiss」/宇多田ヒカル(3/10 リリース)
作詞・作曲・Utada Hikaru
【Yaffleコメント】
完璧な曲。セカンドバース頭のベースにびっくりさせられた。
1番フック(サビ)の終わりにサブベースが鳴っているような流れなのに、本当は鳴っていない、斬新。
始まりから終わりまでの構成が流れるように進んでいく良さ。素晴らしいシンガーが素晴らしいビートで歌い、素晴らしいミックスで仕上がっているというシンプルな楽曲の圧倒的な完成度。
蔦谷好位置が選ぶ2020年のマイベスト1位
☆言わずと知れた日本のトップをひた走る4人組バンド!!
●POINT:生きる事と愛する事の美しさを描いた2021年最高傑作!!
「アポトーシス」/Official髭男dism(8/18 リリース)
作詞・作曲:藤原聡 編曲:Official髭dism

【蔦谷好位置コメント】
コロナ禍のこの約2年の中で誰もが命について少なくとも一度は考えたと思います。
そんな中、この曲は年を重ねていくパートナーの生死について生々しく描写しながら、生きることと愛について歌っていて、それを1曲の中で様々な創意工夫と技術を駆使しながら完璧に表現しています。
全てのスピードが速くなっていく世の中で、この曲は1年かけて作ったらしく、時間をかけ丁寧に試行錯誤を繰り返して磨き上げた2021年J-POPの最高傑作だと思います。
※タイトルの「アポトーシス」とは、「プログラム細胞死」という意味。
昨年2021年も、本当に良いが楽曲がたくさん発表されたことが、再認識できました。
今年2022年もたくさんの音楽を楽しみたいです。
※今回(1月16日)の放送は、TVerなどでも見逃し配信されているとのことです。
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